歯列矯正は何歳までできる?保険適用や医療費控除についても解説


「歯列矯正は何歳までできるか」気になっている方は多いのではないでしょうか?

歯を矯正すると時間や費用の負担が大きいと思われている方が多いです。

そのため、歯列矯正に対して以下のように考えている方が多いでしょう。

「若々しく見られたいけど、何歳まで歯列矯正を受けられるの?」

「歯を綺麗にはしたいけど、一度綺麗にするとまたケアするにもお金がかかるから、年齢も考えてあまりお金を使いたくないんだよな」

歯列矯正には何歳までといった年齢制限はありません。

そして保険や矯正を受けられる条件さえ知っていれば保険が適用され、上手に節約しながら治療を受けられます。

そこで今回は以下のトピックについて解説します。

  • 歯列矯正は何歳までできる?
  • 歯列矯正が保険適用になるケース
  • 歯列矯正は医療控除の対象
  • 大人が歯列矯正をするメリット

この記事では成人して大人となっても歯列矯正を受けられるのか、受ける際にどのようなメリットがあるのかについて解説します。

大人になって歯列矯正に興味を持っている方、少しでも治療の費用を安く抑えたい方はぜひ参考にしてください。

歯列矯正をご検討中の方はお気軽にご相談ください!

歯列矯正は何歳までできる?


歯列矯正は、何歳までできるといった年齢に関する条件はありません。一般的に永久歯に生え変わった12歳前後の年齢から治療を受けられるのですが、治療に関して実質的な条件が存在しています。

矯正の条件や具体的にどれくらいの期間と費用が必要なのかについて解説するので、しっかり確認しましょう。

歯列矯正を受けられる年齢は歯の状態によって変わる

一般的に歯列矯正は歯全体が永久歯に生え変わっていれば何歳でも治療が可能です。しかし長期間治療をおこなうので、歯の健康状態が良くて、さらに歯を支える顎の骨がしっかりとしている場合にのみ、何歳でも治療が可能になります。

そのため、高齢者だとどうしても歯の状態や顎の骨などが歯列矯正の条件を満たさないことから年齢制限があるように考えられています。また歯列矯正中は口内環境が荒れやすいので月一回のペースで治療を受けるために通院しなくてはなりません。

こういった治療通院の体力の面でも高齢者には大きなハードルになりやすいです。歯列矯正の年齢条件がなくても、年齢を重ねるとどうしてもさまざまな問題が発生するリスクが高まるので、治療を受けるならなるべく早い方が良いでしょう。

歯列矯正にかかる期間

歯列矯正にかかる期間は、個人の歯並びの状態によりますが平均で2〜3年ほどかかります。しかし年齢を重ねるほど歯が動きにくくなり、口内環境が荒れやすかったりと治療の難易度があがることから治療期間が伸びやすいです。

また、治療器具によっても治療期間が変化します。たとえば歯の健康状態が良好な方でワイヤー装置を歯の表側につける場合は2〜3年かかるでしょう。

さらに、目立たないよう歯の裏側から治療する際は3年以上かかります。他にもマウスピースを使って治療する際は約1〜2年かかるでしょう。

年齢を重ねるとそれ以上の治療期間がかかると思っておくと良いです。

歯列矯正にかかる費用

歯列矯正の費用は矯正方法によって変わりますが約50〜150万円ほどです。具体的な費用の内訳としては矯正前の診断料やカウンセリング料、矯正中の矯正装置代金、装置処置料などが必要になります。

さらに治療が完了した後に歯並びがどのように変化しているかを確認する保定料がかかります。特に費用の中で大きな割合を占めるのがどの矯正装置を選ぶかという点で、マウスピースだと約50〜100万円、ワイヤー矯正だと約70〜150万円ほど必要になります。

歯をどれくらい動かすかや奥歯を含むのかなどによって費用は変化するので、まずは歯科医師に自身の歯の状態を見てもらいましょう。そして、自身の歯と矯正後の理想の歯並びについてどれくらい乖離があるか教えてもらい、治療を始めていきます。

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歯列矯正が保険適用になるケース


一般的に歯列矯正は見た目の改善を目的と判断されるため、保険適用外ですが、以下の3つのケースの場合にのみ保険が適用されます。費用を抑えてお得に治療を受けるためにも、しっかり確認しましょう。

1.厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常に対して歯列矯正をおこなう場合

厚生労働省が定める61の疾患に起因した咬合異常である場合、歯列矯正をおこなう際に保険が適用されます。ここでは61の疾患を省略しますが、すべて先天性の疾患です。

具体的にチェックしたい方は以下のURLを参照してください。
https://www.jos.gr.jp/facility

基本的に保険が適用されるのは病気を治す治療の場合ですので、先天性の咬合異常の場合は保険適用できる可能性があると考えておきましょう。61の疾患の名称を見ても、自身で先天性の病気かどうかはわからないことが多いので、医師に診断してもらうところから始めると良いです。

2.前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療

前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常の場合にも保険が適用されます。萌出不全とは大人になっても永久歯が正常に生えてこない状態のことです。

そして、前歯や小臼歯の永久歯が3歯以上正常に生えてこない萌出不全により咬合異常を起こしている場合に保険が適用されます。一般的に萌出不全の場合、埋伏歯開窓術により歯茎に埋まった永久歯を取り出す手術を受けるのですが、その際に保険が適用されます。

ただし、例外として萌出不全であっても歯茎の切開手術が必要ない場合や生えてこない永久歯が1〜2本の場合は適用されないので注意が必要です。

3.顎変形症の手術前・手術後の矯正歯科治療

顎変形症により咬合異常が発生している場合でも保険適用されます。顎変形症とは顎の骨の形や大きさが原因で歯のかみ合わせに問題が発生していたり、顔に対しても顎の変形が目立っている症状のことです。

原因は不明で、遺伝の要素が強いと言われているため、注意して対策することが難しい症状でもあります。

保険適用かどうかの診断基準は口腔外科や形成外科に出っ歯や受け口などの不正咬合が顎変形症によるものだと診断されて、外科手術が必要であると判断された場合です。

歯列矯正は医療費控除の対象


医療費控除とは、高額になった医療費を所得から差し引くことで税金が安くなる仕組みのことです。歯列矯正は医療費控除の対象になります。

ただし、歯科医師により機能的に問題があるほどかみ合わせが悪く、矯正治療が必要であると診断された際にのみ控除の対象になります。医師の診断がないと確定申告の段階で診断書が提出できないので控除が受けられないので注意しましょう。

医療費控除の対象になるとワイヤー矯正、マウスピース矯正どちらの矯正方法であっても、大人子供といったどのような年齢であっても医療費が控除されます。控除された医療費が還元される条件は1年間で医療費に10万円以上使用した場合か、年収が200万円未満の場合でも年収の5%以上を医療費に費やした場合です。

還付金は控除の申告から数か月後に指定の口座に振り込まれるという流れになります。おおよその条件は紹介した通りですが、さらに詳しく控除される条件があったりするので一度簡単に国が定めている控除の条件に目を通してみましょう。

以下のURLを貼っておきますので参考にしてください。
歯列矯正の確定申告と医療費控除の申請方法 (kyousei-shika.net)

大人が歯列矯正をするメリット


大人が歯列矯正をするメリットは主に5つあります。歯並びを良くするメリットについて解説しますので、確認していきましょう。

見た目が若返る

歯列矯正をおこなうと見た目が若々しく見えます。なぜなら歯列矯正によって嚙み合わせが良くなることで筋肉のバランスが整い、ほうれい線やたるみが解消されるからです。

そのため、口元が引き締まり若々しい印象を与えることになります。また顔周りの筋肉が引き締まることで顔のたるみを抑えられ、さらに表情も豊かになります。

また正しい歯並びになっていると歯周病や虫歯のリスクを減らせて、歯茎がすり減りにくくなるでしょう。そのため、人目を気にせず笑うことができるというメリットもあります。

特に歯列矯正は若々しく見られ続けたいという方におすすめです。

活舌が良くなる

歯列矯正によって歯並びが良くなると滑舌まで良くなります。そもそも歯並びが悪いと歯と歯の間に隙間ができているので、会話するときに歯の隙間から空気が漏れやすいです。

そのため、サ・ラ行が聞き取りにくくなります。コミュニケーションを円滑に進められなくなると話している自分も聞いている相手もお互いにストレスになるので、必ず防ぎましょう。

さらに歯並びが悪いと舌の可動域も狭くなるので、正しい発音もできなくなるだけでなく舌の筋肉も衰える可能性もあるでしょう。今はこのような状態を想像できないかもしれませんが、歯列矯正により歯並びと活舌をよくするとこういったリスクを未然に防げるのでおすすめです。

食べ物の消化が良くなる

歯列矯正により歯並びが良くなると食べ物の消化が良くなります。当然、歯がキレイに並んでいる方が食べ物を適切なサイズに咀嚼しやすいです。

しっかりと咀嚼ができると食べ物がおいしく感じるだけでなく、胃や小腸も食べ物を消化しやすいです。他にも歯並びがよいと口内環境を清潔に保ちやすく、唾液の分泌もよくなるので、内臓や消化器官に負担をかけることなく消化をさらに円滑にしてくれます。

歯が健康になる

歯並びが良いと歯も健康になります。歯並びが悪いと食べ物を上手に咀嚼できないため、口内に食べかすが残りやすかったり、口呼吸を無意識にしてしまうため、口内に細菌が繁殖しやすいです。

逆に歯並びが良くなると食べかすが残りにくいだけでなく、歯並びが綺麗だと口が無意識に開くこともないので口内環境を清潔に保ちやすく、歯が健康になります。他にも歯並びがいいと歯磨きによって歯の汚れを取りやすいので歯の健康も保ちやすいです。

身体の不調が解消される

歯並びが良いと身体のさまざまな不調が解消されるでしょう。たとえば、綺麗な歯並びによって適切に食べ物を咀嚼できると胃や小腸などの内臓への負担を減らせるので、肩こりや自律神経の乱れといった症状を解消できます。

歯並びが悪いとこれらの症状だけでなく、さらに首の神経周りの筋肉に常に負担をかけ続けるため、慢性的な頭痛も引き起こしやすいです。年齢のせいだと感じている症状も案外、歯並びの良し悪しが関係している可能性もあるでしょう。

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まとめ

歯列矯正は何歳であっても治療は可能です。しかし、歯の状態や歯茎、口内環境などあらゆる条件を満たさなければ矯正治療ができません。

今回紹介したようなメリットや医療控除制度をしっかり理解して、治療をするならまずは歯科医師に現在の歯の状態が治療を受けられるのかを診断してもらいましょう。

歯列矯正をご検討中の方はお気軽にご相談ください!

平山脩

コラム監修者

はぴねす歯科・矯正歯科尼崎駅前クリニック 院長 平山脩
岡山大学歯学部卒業後、岡山大学病院総合歯科に勤務。その後、大阪市内の歯科医院に勤務し、はぴねす歯科緑地公園駅前クリニックに勤務。2022年11月、はぴねす歯科・矯正歯科尼崎駅前クリニック院長に就任。