歯列矯正中に口内炎ができる理由と対処法・予防法を紹介

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歯列矯正治療中の方のなかには、「また口内炎ができた」「繰り返す口内炎、放置しても大丈夫?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

矯正装置が口の中の粘膜に当たったときの刺激などが原因で、矯正中は口内炎ができやすくなります。

口内炎ができると食事や会話に支障が出ることもあり、ストレスの原因になることも少なくありません。

そこで、今回は以下の内容について解説します。

  • 歯列矯正が原因の口内炎について
  • 歯列矯正で口内炎ができる主な原因
  • 歯列矯正で口内炎ができたときの対処法
  • 口内炎の予防策

この記事を読み、適切な対処法や予防策を知っておくことで、症状を和らげたり、口内炎の発生を抑えたりすることができるようになります。

矯正治療を快適に続けていくためにも、ぜひご参考にしてください。

歯列矯正が原因の口内炎について

口内炎はいくつかの種類に分かれており、原因や症状、対処法が異なります。

歯列矯正中、装置が口腔内の粘膜に当たることでできやすい口内炎は、以下の2つです。

  • カタル性口内炎
  • アフタ性口内炎

ここからは、矯正中に特に多く見られる2種類の口内炎について詳しく解説します。

カタル性口内炎

カタル性口内炎は、物理的な刺激や傷への細菌感染によって引き起こされる口内炎です。

矯正装置が口腔内の粘膜に繰り返し当たることで、粘膜が赤く腫れてただれ、時には水ぶくれやびらんができることも。

口臭や味覚鈍麻などの症状が起きることもあります。

熱い飲み物や刺激物を口に含んだときに、しみるようなヒリヒリとした痛みを感じるのが特徴です。

次に紹介するアフタ性口内炎とは異なり、周囲との境界は不明瞭で、白い潰瘍がはっきりと見えることはあまりありません。

矯正装置による刺激が原因の場合、歯科医師による調整が必要となりますので、早めに歯科医院を受診しましょう。

アフタ性口内炎

アフタ性口内炎は、矯正治療中でなくても頻繁にみられる一般的な口内炎です。

矯正治療中はストレスや栄養不足・睡眠不足による免疫力の低下などが引き金となります。

口腔内に円形または楕円形の白い潰瘍ができ、その周囲が赤く縁取られたように炎症を起こします。

潰瘍の大きさは2~10mm程度までさまざまで、一つだけできることもあれば、複数個が連なってできることも。

特に、頬の内側や唇の裏、舌、歯ぐきなどにできやすく、非常に強い痛みをともなうため、食事や会話に支障をきたすことも少なくありません。

通常は1~2週間で程度で自然に治りますが、再発することもあります。

アフタ性口内炎がなかなか治らなかったり、何度も繰り返し再発したりする場合は、ベーチェット病などの膠原病も疑われます。

歯列矯正で口内炎ができる主な原因

矯正治療中に口内炎ができるのは、珍しいことではありません。

特に矯正装置の装着直後や調整直後は、以下のような原因により口腔内に違和感や刺激が生じやすく、口内炎が発生しやすい状況になります。

  • 矯正装置による物理的な摩擦・刺激
  • 歯の移動に伴う口内環境の変化
  • 口腔衛生状態の悪化

ここからは、歯列矯正中に口内炎を引き起こす原因について、それぞれ詳しく解説します。

矯正装置による物理的な摩擦・刺激

矯正装置、特にワイヤー矯正では、ブラケットのエッジやワイヤーの先端、バンドの金具など、粘膜に刺激を与える要素が多くあります。

これらのパーツが頬の内側や唇の裏側、舌の側面などに繰り返し当たることで、粘膜に小さな傷ができ、それが口内炎へとつながることがあります。

特に矯正装置を装着したばかりの時期は口腔内が慣れておらず、炎症が起きやすいため、注意が必要です。

歯の移動にともなう口内環境の変化

矯正治療により歯が移動すると、同時に噛み合わせも変化していきます。

噛み合わせのバランスの変化により、それまで噛まなかった部分に歯が当たったり、頬の内側や唇、舌などを誤って噛んでしまったりすることがあります。

このときにできた傷がきっかけとなり、口内炎ができることも少なくありません。

矯正装置の調整後や大きく歯を動かす矯正治療をする場合は、特に注意が必要です。

口腔衛生状態の悪化

矯正装置があることで、食べ物や汚れが溜まりやすくなったり、歯磨きがしにくくなったりすることがあります。

その結果、口腔内の細菌が繁殖しやすくなり、口内炎のような炎症を引き起こすリスクが高まります。

口腔内を清潔に保てないと、口内炎ができやすくなるだけでなく、一度できた口内炎の治りが遅れたり、悪化したり、再発を繰り返しやすくなったりします。

特に、患者さまご自身で取り外しができないワイヤー矯正の場合は注意が必要です。

歯列矯正で口内炎ができたときの対処法

矯正中にできた口内炎は、痛みだけでなく食事や会話にも支障をきたすため、できるだけ早く対処することが重要です。

矯正中の口内炎に効果的な対処法は、以下のとおりです。

  • 矯正用ワックスの使用
  • うがい
  • 軟膏やジェル
  • 食事の工夫
  • 痛み止め
  • ワイヤーの調整
  • 歯科医・矯正歯科医への相談

ここからは、それぞれの対処法について詳しくご紹介します。

正しいケアで痛みを軽減しながら、矯正治療を続けましょう。

矯正用ワックスの使用

もっとも一般的で簡単な対処法です。

矯正装置の尖った部分や、繰り返し口腔内の粘膜と擦れてしまう箇所に、矯正用ワックスを貼り付けて、物理的な刺激から粘膜を保護できます。

矯正用ワックスは歯科医院で受け取れるほか、薬局やオンラインなどでも購入できます。

装置を装着した直後の不快感や痛みの緩和にも役立つでしょう。

うがい

生理食塩水またはうがい薬を使ったうがいで、口内炎の症状を緩和することができます。

生理食塩水は、水500mlに食塩4.5gの割合で作ることが可能です。

1日数回を目安に生理食塩水でうがいすることで、口内炎の炎症抑制や痛みの軽減のほか、口腔内の清潔維持にも効果が期待できます。

生理食塩水をぬるま湯程度に温めておくと、より患部にしみづらくなります。

殺菌作用のあるうがい薬を使用する場合は、アルコール成分の入っていない、刺激の弱いタイプが患部への負担も少なく、安心です。

細菌の繁殖を抑え、口内炎の治癒を促す効果が期待できます。

軟膏やジェル

薬局やドラッグストアなどで売られている口内炎用の軟膏やジェルを使用すると、痛みを和らげながら炎症を抑え、口内炎の治癒を促進できます。

局所麻酔成分やステロイドを含むものなど、さまざまな種類の外用薬が市販されているため、ご自身に合ったものを選び、用法用量を守って使用することが大切です。

ただし、ウイルス性またはカンジダ性の口内炎が疑われる場合は、ステロイドを含む外用薬の使用は避けましょう。

食事の工夫

口内炎ができたときは、刺激物を避け、やわらかい食べ物を選ぶようにしましょう。

辛いものや酸味の強いもの、熱すぎるもの、硬いものは刺激となり、口内炎を悪化させる原因となります。

痛みがあるときはおかゆやスープ、ヨーグルト、プリンなどを選ぶのがおすすめです。

患部への刺激を避けながら、バランスを考えて栄養を摂りましょう。

痛み止め

口内炎による痛みが強く、食事や会話に支障をきたしている場合は、市販の鎮痛剤を服用するのも一つの方法です。

ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの鎮痛剤は、副作用として口内炎を引き起こすことがあるため、避けたほうがよいでしょう。

抗炎症成分としてトラネキサム酸を含むものなど、口内炎に特化した鎮痛剤を選ぶと安心です。

ただし、薬の種類によっては体質に合わないこともあるため、服用前には用法用量をよく確認し、必要に応じて歯科医師や薬剤師に相談しましょう。

また、粘膜の健康維持に効果的なビタミンB群を含む薬やサプリメントも、口内炎のケアに有効です。

ワイヤーの調整

ブラケットの角が鋭くなっていたり、ワイヤーが飛び出していたりなど、矯正装置そのものが原因で口内炎ができやすくなっている場合は、歯科医院で調整してもらいましょう。

矯正装置を少し削ったり、ワイヤーの先端を丸めたりなどの処置で、粘膜への刺激を軽減することができます。

歯科医・矯正歯科医への相談

以下のような症状に当てはまる場合は、早めに担当の歯科医師に相談しましょう。

  • 口内炎がなかなか治らない
  • 口内炎が悪化している
  • 口内炎が増えている
  • 口内炎のサイズが大きくなっている
  • 発熱などの全身症状をともなう

装置の不具合が原因のこともありますが、ベーチェット病などの膠原病により口内炎が起きていることもあります。

自己判断せず、速やかに歯科医院を受診をすることが大切です。

口内炎の予防策

歯列矯正中の口内炎は、以下のような適切な予防策を講じることで発生自体を減らすことが可能です。

  • 徹底した口腔ケア
  • 水分補給
  • バランスの取れた食事
  • ストレスをためない
  • 定期的な受診

ここからはそれぞれのポイントについて詳しく解説します。

口内環境を整えて、口内炎に悩まされずに矯正治療を進めていきましょう。

徹底した口腔ケア

歯ブラシや歯間フロスなどを用いた丁寧なオーラルケアを心掛け、口腔内を常に清潔に保ちましょう。

食べカスなどが残っていると、細菌が繁殖し、口内炎ができやすくなります。

特に取り外せないワイヤー矯正の場合は、専用の歯ブラシやタフトブラシ、デンタルフロスを活用しながら、細部までしっかり清掃することが大切です。

水分補給

口腔内が乾燥すると、粘膜のバリア機能が低下し、炎症が起きやすくなります。

こまめな水分補給を心掛け、口腔内のうるおいを保ちましょう。

乾燥が気になる場合は、部屋の加湿やマスクの着用も有効です。

口呼吸が習慣になっている場合は、歯科医師にご相談ください。

バランスの取れた食事

免疫力を高めるためには、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。

特に、粘膜の健康維持に関わるビタミンB群や、免疫力アップに関わるビタミンCを意識的に摂取しましょう。

野菜や果物、卵、納豆、レバーなどをバランスよく食事に取り入れてください。

ストレスをためない

ストレスや疲れがたまると、免疫力が低下し、口内炎ができやすくなります。

十分な睡眠を取り、心身をリラックスさせる時間をしっかりと確保しましょう。

適度な運動もストレス解消に有効です。

定期的な受診

矯正装置の不具合の調整や、摩擦による粘膜の傷に早期対処するためには、定期的な受診が欠かせません。

矯正装置の刺激による口内炎が気になる場合は、受診日を早めることも可能です。

少しでも快適に矯正治療を進めるためにも、気になることがあれば早めに担当の歯科医師に相談しましょう。

まとめ

歯列矯正中は、矯正装置の刺激や免疫力の低下などさまざまな原因で、口内炎が生じることがあります。

多くの場合、過度な心配は必要ありませんが、気になるときは早めに担当の歯科医師に相談してください。

この記事でご紹介した正しい対処と予防で、口内炎に妨げられない快適な矯正治療を進めましょう。

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平山脩

コラム監修者

はぴねす歯科・矯正歯科尼崎駅前クリニック 院長 平山脩
岡山大学歯学部卒業後、岡山大学病院総合歯科に勤務。その後、大阪市内の歯科医院に勤務し、はぴねす歯科緑地公園駅前クリニックに勤務。2022年11月、はぴねす歯科・矯正歯科尼崎駅前クリニック院長に就任。

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