歯周病でも歯列矯正はできる?歯列矯正中に歯周病が起きやすい原因

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「歯周病の私が歯列矯正をすると、余計に歯が弱ってしまうのではないか?」

「歯周病がある場合でも歯列矯正はできるのか?」

そんな不安を抱えて、矯正相談へ踏み出せずにいませんか?

歯周病であっても、正しい順序で治療を進め、お口の環境をコントロールできれば、歯周病のリスクがある方でも安全に理想の歯並びを手に入れることは可能です。ただし、歯を支える骨や歯茎に炎症がある状態で無理に歯を動かすと、歯周病が急速に悪化し、最悪の場合は歯の寿命を縮めるリスクがあります。

本記事では、歯周病の方でも歯列矯正はできるのか、歯周病のまま歯列矯正をするとどんなリスクがあるのかを解説します。

歯列矯正中の歯周病リスクを抑えるポイントもご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

歯周病とは

歯周病とは、歯と歯茎の隙間に溜まった汚れのなかにいる細菌が原因で炎症が起き、進行すると歯を支えている骨が溶ける病気です。初期の段階では自覚症状がほとんどないため、自分では気づかないうちに症状が悪化してしまうケースがほとんどです。

歯周病を放置して重症化すると、歯茎から膿が出たり歯がグラグラと揺れたりするようになり、最悪の場合は支えを失った歯が抜け落ちてしまいます。

歯周病でも歯列矯正はできる?

歯周病にかかっている方でも、適切な治療を受けて症状が安定したあとであれば歯列矯正は可能です。

ただし、歯茎が腫れていたり歯を支える骨が溶けていたりする状態で無理に力をかけると、歯周病が急激に悪化して歯が抜け落ちるリスクがあります。そのため、まずは歯科医院で精密検査をおこない、矯正を始める前に歯周病を完治させるのが最善です。

健康な土台を取り戻してからスタートすると、リスクを最小限に抑えてきれいな歯並びを目指せます。

歯周病のまま歯列矯正を受けるリスク

歯周病のまま歯列矯正を受けるリスクは、以下の5つです。

  • 歯を支える骨が吸収される
  • 炎症や腫れが悪化する
  • 歯茎が下がって歯の隙間が目立つ
  • 治療期間の延長や中断のリスクがある
  • すぐに後戻りする

1つずつ解説します。

歯を支える骨が吸収される

歯周病による炎症がある状態で歯列矯正の力を加えると、歯を支えている骨が急速に溶けるリスクが高まります。通常、歯列矯正は骨の代謝を利用して歯を動かしますが、歯周病の原因菌がいると骨の破壊が過剰に進んでしまうのです。土台となる骨がなくなると歯がグラグラになり、最終的には歯列矯正どころか抜歯が必要になるケースもあります。

大切な歯を守るためにも、歯列矯正を検討する際は、まずは土台となる骨の状態を万全に整えるのが大切です。

炎症や腫れが悪化する

矯正装置を装着すると歯磨きが困難になるため、汚れが溜まりやすくなり、歯周病の炎症や腫れが一気に悪化しやすいです。複雑な装置の周りは細菌の温床になりやすく、健康な人でも虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。

もともと歯周病の傾向がある方が十分なケアをおこなえないまま治療を始めると、歯茎からの出血がひどくなり、痛みで食事がとれなくなる場合もあります。そのため、歯列矯正中は普段以上に丁寧なセルフケアとプロの管理を徹底しましょう。

歯茎が下がって歯の隙間が目立つ

歯周病で骨が減っている状態で歯列矯正をおこなうと、それに伴って歯茎が下がり、歯と歯の間にブラックトライアングルと呼ばれる黒い三角形の隙間ができやすくなります。健康な状態であれば歯茎は引き締まりますが、炎症で弱っている組織は矯正がかける負荷に耐えられません。

せっかく歯並びがきれいになっても、歯の根元が露出して長く見えたり、隙間が目立って老けた印象になったりするのは避けたいものです。見た目の美しさを損なわないためにも、事前の歯周病管理が重要です。

関連記事:歯列矯正ですきっ歯になる原因と対処方法を解説

治療期間の延長や中断のリスクがある

歯列矯正の途中で歯周病が悪化すると、矯正装置を一度外して歯周病治療を優先せざるを得なくなり、結果として治療期間が延びてしまいます。計画通りに歯が動かなくなるだけでなく、中断している間にも後戻りが起きるリスクがあるなど、さまざまなデメリットが生じます。

歯列矯正をできるだけ早く終えたいはずが、数カ月単位で遅れが出るのは精神的にも経済的にも負担です。歯列矯正をスムーズに進めるためにも、歯周病のリスク管理は大切です。

すぐに後戻りする

歯周病によって歯を支える骨の量が減っていると、移動した歯をその場所に留めておく力が弱く、装置を外したあとにすぐもとの位置へ戻りやすくなります。

歯列矯正終了後は保定装置を使って歯並びを安定させますが、骨の支えが少ない場合は通常よりも長い期間の装着が必要です。

不安定な状態が続くと、少しの噛み合わせの力で再び歯が動き出し、再治療が必要になるケースも珍しくありません。治療後の安定性まで考えて、歯周病をコントロールしておくのが大切です。

歯列矯正をすると歯周病になるって本当?

歯列矯正そのものが直接の原因ではありませんが、治療中は通常よりも歯周病になるリスクが高まるのは事実です。

ワイヤーの装置が歯につくと、歯ブラシが届きにくい場所が増え、磨き残しによる汚れが溜まりやすくなります。その結果、細菌の塊であるプラークが放置されると歯茎が炎症を起こし、進行してしまうのです。

しかし、毎日の丁寧なケアと定期検診をおこなうと、健康な状態を保ったまま治療を進められます。

歯列矯正中に歯周病になる原因

歯列矯正中に歯周病になる原因は、以下の4つです。

  • 複雑な矯正装置の周りに汚れや歯石が溜まりやすい
  • 装置の厚みで口が閉じにくくなり口呼吸を誘発する
  • 唾液による洗浄効果が低下する
  • 歯科医院でのクリーニングを怠ってしまう

1つずつ解説します。

複雑な矯正装置の周りに汚れや歯石が溜まりやすい

複雑な構造の矯正装置をつけると、歯ブラシの毛先が届きにくい場所が増え、汚れや歯石が溜まりやすくなるのが、歯列矯正中に歯周病を発症しやすい原因です。

ワイヤーやブラケットの周りは、どうしても食べカスやプラークが残りやすい場所です。これを放置すると、細菌の塊である歯石へと変化し、歯茎の炎症を引き起こします。とくに食事後は、鏡を見ながらタフトブラシや専用用具を使って、細かい部分まで丁寧なケアをおこなわなければなりません。

装置の厚みで口が閉じにくくなり口呼吸を誘発する

歯の表面についた矯正装置の厚みが邪魔になり、唇が自然に閉じにくくなる結果、無意識のうちに口呼吸が誘発されるのも、歯列矯正中に歯周病を発症しやすくなる原因です。

口呼吸が続くと、外の乾いた空気が入り込み、歯茎が乾燥します。歯周病の原因菌は乾燥した環境を好むため、口呼吸は炎症を悪化させる原因になります。

歯列矯正中の歯周病リスクを抑えるためにも、意識して口を閉じるようにしたり、濡れマスクを活用したりして、口腔内の湿度を保つ工夫が必要です。

唾液による洗浄効果が低下する

口腔内が乾燥すると、唾液による洗浄効果や殺菌作用が低下するのも、歯列矯正中に歯周病を発症しやすくなる原因です。

唾液には、口内の汚れを洗い流し、細菌の繁殖を抑える重要な役割があります。しかし、装置の違和感や口呼吸によって唾液が減ったり行き渡らなくなったりすると、歯周病の原因菌に対抗する力が弱まってしまうのです。

歯列矯正中は歯周病リスクを下げるために、水分をこまめに補給し、よく噛んで唾液の分泌を促しましょう。

歯科医院でのクリーニングを怠ってしまう

歯科医院での定期的なクリーニングを怠るのも、歯列矯正中に歯周病のリスクが上がる原因です。

どんなに頑張って歯磨きをしても、装置の裏側や歯と歯の間にはどうしても取り切れない汚れが残ります。プロによる専用の機械を使った清掃を受けずに放置すると、歯周ポケットのなかで静かに炎症が進行します。

毎月の調整日にあわせてクリーニングも一緒におこなうのが、歯周病リスクを抑えながら歯列矯正を進めるポイントです。

将来的な歯周病リスクを下げる歯列矯正の種類

将来的な歯周病リスクを下げる歯列矯正の種類は、以下の2つです。

  • 【マウスピース矯正】取り外しが可能で普段通りに歯磨きができる
  • 【ワイヤー矯正】汚れが溜まりにくいセルフライゲーションブラケットを使用する

1つずつご紹介します。

【マウスピース矯正】取り外しが可能で普段通りに歯磨きができる

マウスピース矯正は、自分で取り外しができるため、普段と同じように歯磨きがおこなえて、もっとも衛生的に治療を進められる方法です。

食事や歯磨きの際は装置を外せるため、食べ物が器具に絡まる心配がなく、デンタルフロスもストレスなく使えます。また、弱い力で少しずつ歯を動かす仕組みのため、歯茎や骨への負担が少なく、歯肉が下がるトラブルも起きにくいのが特徴です。

マウスピース矯正は、清潔さを最優先したい方にはおすすめの治療法です。

【ワイヤー矯正】汚れが溜まりにくいセルフライゲーションブラケットを使用する

ワイヤー矯正は、装置が固定式のため汚れが付きやすい傾向にありますが、毎月の通院時にプロのクリーニングを受けると清潔な状態を維持できます。 

ワイヤー矯正は歯の表面にブラケットという器具がつくため、磨き残しが増えて歯肉炎になりやすいのがデメリットです。しかし、定期的な調整のたびに歯科衛生士が専用の機械で徹底的に清掃をおこなってくれるため、自分での管理に自信がない方でも安心できる側面があります。

ワイヤー矯正は、歯科医師と二人三脚で口腔内ケアを続けられるのが強みの治療法です。

歯列矯正中の歯周病リスクを抑えるポイント

歯列矯正中の歯周病リスクを抑えるポイントは、以下の7つです。

  • 正しいブラッシングを習得する
  • ワンタフトブラシや歯間ブラシ・フロスを活用する
  • 口腔洗浄器やマウスウォッシュを用いる
  • 染め出し液を使って定期的にセルフチェックをおこなう
  • 口呼吸を改善して口腔内の乾燥を防ぐ
  • 喫煙を控えて規則正しい生活を送る
  • 定期的に歯科医院でプロによる清掃を受ける

1つずつ見ていきましょう。

正しいブラッシングを習得する

矯正中は装置の周りに汚れが溜まりやすいため、それぞれの装置に適した正しい磨きかたを身につけるのが、歯列矯正中に歯周病リスクを抑える基本の対策です。 ただ磨くのではなく、歯ブラシの毛先を45度の角度で歯と歯茎の境目に当てて小刻みに動かしたり、鏡を見ながら装置の周りを丁寧に磨いたりする必要があります。

自己流のブラッシングでは磨き残しが増えるため、歯科医院で指導を受けて自分の歯並びに合った磨きかたを身に付けましょう。

ワンタフトブラシや歯間ブラシ・フロスを活用する

歯列矯正中の歯周病を防ぐためには、通常の歯ブラシだけでは届かない細かい隙間の汚れを、専用の補助清掃用具を使って落とすのが効果的です。

とくにワンタフトブラシという筆のような小さなブラシは、複雑な矯正装置の周りや奥歯の裏側をピンポイントで掃除するのに役立ちます。また、ワイヤーの下に通せるフロスや歯間ブラシを併用すると、歯と歯の間の歯垢を効率よく除去でき、歯周病の原因菌が繁殖するのを防げます。

口腔洗浄器やマウスウォッシュを用いる

歯列矯正中の歯周病を予防するために、毎日のケアに水流や薬液の力をプラスして、口腔内の細菌を減らす工夫を取り入れましょう。

口腔洗浄器(ジェットウォッシャー)を使うと、強力な水流で装置の隙間に挟まった食べカスやプラークを洗い流せます。仕上げに殺菌成分が含まれたマウスウォッシュでうがいをすると、ブラシが届かない場所の細菌活動も抑えられます。

ただし、これらはあくまで補助的なものであるため、歯ブラシでの清掃とセットでおこないましょう。

染め出し液を使って定期的にセルフチェックをおこなう

自分ではきれいに磨けているつもりでも磨き残しは発生するため、染め出し液を使って汚れを目で確認する習慣をつけてください。古い歯垢が赤く染まると、自分の苦手な部分やブラシが当たっていない場所が一目でわかります。週に1回程度、夜の歯磨き前におこない、染まった部分を重点的に磨くようにすると、ブラッシングの技術が向上します。

歯列矯正中の歯周病を防ぐためにも、染め出し液で磨き残しをチェックし、長期間の矯正生活のモチベーションを保ちましょう。

口呼吸を改善して口腔内の乾燥を防ぐ

歯列矯正中の歯周病を防ぐため、鼻呼吸を意識して口の中が乾かないように注意しましょう。口呼吸をしていると、口内が乾燥して唾液が減り、歯周病の原因菌を洗い流す自浄作用が弱まります。

とくに寝ている間の口呼吸は細菌を増やしやすいため、歯列矯正中の歯周病を予防するためには、意識して口を閉じるようにしたり、口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを取り入れたりして、鼻で呼吸する習慣を身につけるのが効果的です。

喫煙を控えて規則正しい生活を送る

体の免疫力を維持して歯周病の進行を食い止めるためにも、タバコを控えて健康的な生活リズムを整えるのが大切です。

タバコに含まれる有害物質は、歯茎の血流を悪くして酸素や栄養を届きにくくするため、歯周病リスクが上がります。また、睡眠不足やストレスも抵抗力を下げる原因になるため、バランスの良い食事と十分な睡眠を心がけ、体の中から細菌に負けない状態を作っておくのが理想的です。

定期的に歯科医院でプロによる清掃を受ける

日々のセルフケアでは落としきれない頑固な汚れを除去して、歯列矯正中の歯周病を予防するために、矯正治療の通院に合わせてプロのクリーニングを受けましょう。

専用の機械を使って歯の表面や装置の周りを徹底的に掃除すると、歯ブラシでは取れないバイオフィルム(細菌の膜)を破壊できます。

定期的にプロの目で見てもらうと、初期の歯肉炎にもすぐに気づけるため、重症化する前に対処して健康な歯茎を保てるようになります。

まとめ

歯周病があるからといって歯列矯正をあきらめる必要はなく、正しい順序で治療を進めると、健康な歯茎と整った歯並びの両方を手に入れることは可能です。歯列矯正によって歯並びがきれいになると、日々の歯磨きがしやすくなり、結果として歯周病の再発や進行を防ぐことにつながります。

自己判断で悩むよりも、まずは歯周病管理に力を入れている歯科医院に相談し、自分のお口に合った安全な治療計画を立ててもらいましょう。

当院では、矯正治療をご希望の方に対し、まずは丁寧な検査で歯周病の有無や進行度をしっかりと確認し、健康な土台を作ってから歯を動かす安全な治療計画をご提案しております。

「歯周病があるから矯正は無理かも」と諦める前に、歯周病治療から矯正、治療後の予防管理までトータルでサポートできるはぴねす歯科尼崎までお気軽にお越しください。

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平山脩

コラム監修者

はぴねす歯科・矯正歯科尼崎駅前クリニック 院長 平山脩
岡山大学歯学部卒業後、岡山大学病院総合歯科に勤務。その後、大阪市内の歯科医院に勤務し、はぴねす歯科緑地公園駅前クリニックに勤務。2022年11月、はぴねす歯科・矯正歯科尼崎駅前クリニック院長に就任。

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