受け口は歯列矯正で治せる?費用や治療期間を紹介
受け口とは、口を閉じたときに上の歯よりも下の歯が前に出てしまう状態のことです。
受け口でお悩みの方のなかには、「受け口は歯科医院に行かないと治せない?」「保険適用で治療できる?」と不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
受け口の治療法のひとつに、歯列矯正があります。
そこで、今回は以下の内容について解説します。
- 受け口の原因
- 受け口に適した歯列矯正
- 受け口を歯列矯正せずに放置するリスク
- 受け口の矯正に関するよくある質問
この記事を読むことで、受け口に適した歯列矯正方法を知り、自分に合った治療法を選べるようになります。
受け口が気になっている方や、受け口を放置するリスクが心配な方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
受け口の原因
受け口の原因は、大きく分けて次の2つです。
- 先天的な原因
- 後天的な原因
それぞれの原因について、具体的にみていきましょう。
先天的な原因
先天性・遺伝による受け口の原因は主に次の3つです。
- 骨格性下顎前突症
- 歯性下顎前突症
- 唇顎口蓋裂
骨格性下顎前突症は、上顎と下顎の骨の成長に差が生じている状態です。
遺伝により、上顎が小さかったり、下顎が大きかったりすることで、受け口をきたします。
歯性下顎前突症は、一部の歯が生えなかったり、小さかったりすることで起きます。
噛み合わせの不具合をきたすため、受け口になるのです。
唇顎口蓋裂は先天性の顔面奇形の一つで、唇から上顎にかけての癒合不全が原因です。
上顎の成長がうまくいかず、受け口になるリスクが高まります。
また、唇顎口蓋裂は受け口以外にも、唇や鼻の変形、構音障害、中耳炎などさまざまな問題を生じるため、歯科だけでなく、形成外科や耳鼻咽喉科と連携した治療が必要になります。
後天的な原因
後天的な受け口の主な原因は、次の2つです。
- 上顎の発育不良
- 下顎の過度な成長
上顎の発育不良には、口呼吸や舌の位置が大きく影響しています。
上顎の成長が妨げられることにより、通常の成長を遂げた下顎が前に突き出して受け口となってしまうのです。
一方、舌で下の前歯を押し出したり、下顎を前に突き出したりなどの無意識な癖によって、下顎の成長が促進されて、受け口となるケースもあります。
また、指しゃぶりや頬杖などの癖も顎の発育に影響を及ぼすため、受け口のリスクになります。
受け口に適した歯列矯正
受け口は歯列矯正で治療することが可能です。
受け口に適した歯列矯正は、次の3種類です。
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
- 外科矯正
それぞれの矯正方法について詳しく解説します。
ワイヤー矯正
ブラケットと呼ばれる装置を歯の表面に取り付け、そこにワイヤーを通して歯を移動させる矯正方法です。
次に紹介するマウスピース矯正よりも、大きく歯を動かしたい場合に向いています。
なお、ワイヤー矯正で治療できるのは歯並びが原因(歯性)の受け口のみです。
ワイヤー矯正の費用と治療期間
受け口に対するワイヤー矯正の費用と治療期間の目安を表でご紹介します。
ワイヤー矯正の種類 | 費用 | 治療期間 |
表側矯正 | 60~130万円 | 6ヶ月~3年 |
裏側矯正(舌側矯正) | 100~170万円 | 6ヶ月~3年 |
なお、受け口の程度により治療費と治療期間は異なります。
マウスピース矯正
透明なマウスピースを装着して、歯を動かしていく矯正方法です。
ワイヤー矯正同様、治療できるのは歯並びが原因(歯性)の受け口のみです。
矯正器具が目立ちづらいため、まわりに気づかれることなく治療を進められます。
ただし、軽度の受け口にのみ適用されるため、ワイヤー矯正ほど対応症例は多くありません。
マウスピース矯正の費用と治療期間
受け口に対するマウスピース矯正の費用目安は、60~100万円です。
また、治療期間の目安は1~3年程度です。
ワイヤー矯正よりも歯にかける力が弱いため、治療期間は長くなる傾向にありますが、その分違和感や痛みを感じづらいというメリットがあります。
外科矯正
顎の骨が原因(骨性)の受け口に対して行う矯正方法です。
顎の骨を切る外科手術と歯列矯正を組み合わせて行います。
外科矯正の費用と治療期間
受け口に対する外科矯正の手術費用の目安は、200~300万円です。
このほかに、歯列矯正費用として80~100万円程度かかります。
原則として受け口に対する矯正治療は保険適用外ですが、先天性、または顎変形症による噛み合わせの異常があると診断されると、健康保険を使って治療を受けられます。
保険適用の場合の自己負担分の目安は、手術費用として30~50万円、歯列矯正費用として25~30万円です。
治療期間の目安は1年半~3年半といわれていますが、実際は症状の程度によって大きく変動します。
受け口を歯列矯正せずに放置するリスク
受け口を治療せずに放置すると、次のようなリスクが高まります。
- 見た目への影響
- 発音への支障
- 咀嚼機能の低下
- 顎への負担
- 虫歯や歯周病のリスク
それぞれのリスクについて、詳しくみていきましょう。
見た目への悪影響
受け口は見た目の印象を大きく左右します。
進行すると下顎が前に突き出た状態になり、しゃくれているように見えてしまうことも少なくありません。
顎が目立って顔全体のバランスが崩れ、コンプレックスとなってしまうケースもあるでしょう。
発音への支障
受け口では舌の位置や動きが制限されて、一部の音がうまく発音できなくなる恐れがあります。
特に舌の動きが大きく関係する「サ行」「ザ行」「タ行」「ダ行」「ナ行」の発音が不明瞭になりやすいです。
コミュニケーションが取りづらくなることから、社会性・外向性を損なう可能性もあります。
咀嚼機能の低下
下の歯が上の歯よりも前に出ている受け口では、うまくものを噛めなくなっています。
しっかり噛み砕けないまま飲み込んだ食べ物は、胃腸に負担をかけ、消化不良をきたします。
顎への負担
受け口が進行にともなって噛み合わせが悪化すると、顎への負担が増大します。
適切な治療を受けずにいると、顎関節症になってしまう恐れもあるため、注意が必要です。
また、受け口や噛み合わせの悪さが悪影響を及ぼすのは、口腔内や顎の骨だけではありません。
頭痛や肩こり、腰痛、自律神経の乱れなど、慢性的な体調不良の原因となる恐れもあるのです。
虫歯や歯周病のリスク
受け口になると、唇を閉じづらいため、口の中が乾燥しやすい状態になります。
いわゆる、「ドライマウス」です。
ドライマウスになると、抗菌作用や自浄作用を持つ唾液の分泌量が減り、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
関連記事:歯科矯正をしたほうがいい人を紹介!矯正が必要な人とは?
受け口の矯正に関するよくある質問
最後に、受け口の歯列矯正に関するよくある質問を2つご紹介します。
- 受け口は自力で治せる?
- 受け口の矯正は保険適用される?
それぞれの質問に対する回答をみていきましょう。
受け口は自力で治せる?
受け口は自力では治せません。
自分で歯に力を加えて移動させるのは、歯やまわりの組織を傷つける恐れがあるため、大変危険です。
受け口を矯正したい場合は、しっかりと原因を把握したうえで、適切な治療を受けることが大切です。
受け口の矯正は保険適用される?
原則として、受け口の矯正は全額自費負担です。
ただし、先天性、または顎変形症による噛み合わせの問題が生じていると診断された場合には、保険適用で治療を受けられる可能性があります。
まずは、歯科医師に相談してみましょう。
まとめ
受け口は見た目だけの問題ではありません。
発音や咀嚼など、機能的なトラブルも引き起こすため、できるだけ早く治療を始めることをおすすめします。
本記事で受け口に対する歯列矯正の特徴をおさえ、ご自身に合った方法で受け口の改善を目指しましょう。
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コラム監修者
- はぴねす歯科・矯正歯科尼崎駅前クリニック 院長 平山脩
- 岡山大学歯学部卒業後、岡山大学病院総合歯科に勤務。その後、大阪市内の歯科医院に勤務し、はぴねす歯科緑地公園駅前クリニックに勤務。2022年11月、はぴねす歯科・矯正歯科尼崎駅前クリニック院長に就任。
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