重度のガミースマイルは治せる?特徴や治療法、費用を徹底解説

ガミースマイルは、笑ったときに歯ぐきが目立ってしまう状態のことです。

ガミースマイルでお悩みの方のなかには、

「自分がどの程度のガミースマイルなのか知りたい」

「自分に合った治療方法でガミースマイルを治したい」

とお考えの方もいらっしゃるでしょう。

そこで、今回は以下の内容について解説します。

  • 重度のガミースマイルの特徴
  • 重度のガミースマイルを放置するリスク
  • 重度、軽度~中度のガミースマイルの治療法
  • 重度のガミースマイル治療にかかる費用と期間

この記事を読むことで、ご自身のガミースマイルが重度にあたるかを判断できるようになり、積極的に治療を検討することができるようになります。

笑顔の印象を変えたいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

重度のガミースマイルの特徴

笑顔をつくると、歯ぐきが目立ってしまう状態のことをガミースマイルと呼びます。

重度のガミースマイルになると、次のような特徴がみられます。

  • 笑ったときに歯茎が10mm以上露出する
  • 口を閉じるとあごに梅干しジワができる
  • 笑ったときに唇の上がり方が左右非対称になる

それぞれについて詳しく解説します。

笑ったときに歯ぐきが10mm以上露出する

通常、笑ったときに見える歯ぐきの長さは1~2mm程度です。

3mm以上歯ぐきが見えると、ガミースマイルと判断されます。

ガミースマイルの程度は、歯の長さに対する歯の露出具合で次のように決められています。

ガミースマイルの程度 笑ったときに見える歯の長さに対する歯ぐきの比率 笑ったときに見える歯ぐきの長さ
軽度 ~50% 3~5mm
中度 50~100% 5~10mm
重度 100%~ 10mm~

重度のガミースマイルでは、歯の長さとほぼ変わらない長さの歯ぐきが見えている状態ということになります。

口を閉じるとあごに梅干しジワができる

前歯や上あご全体が前に突き出していることが原因でガミースマイルになっているケースでは、口を閉じるとあごにボコボコとした梅干しジワができることがあります。

重度のガミースマイルの方は、通常よりも下あごを引っ張り上げなければなりません。

口を閉じるのに必要なオトガイ筋が酷使されて、梅干しジワができてしまうのです。

笑ったときに唇の上がり方が左右非対称になる

ガミースマイルの原因のひとつに、上唇を持ち上げる上唇挙筋の発達の程度が挙げられます。

とくに、上唇挙筋の発達が左右で異なると、片側の口だけが高く持ち上がってしまい、左右非対称な笑顔になってしまいます。

「笑ったときに口が曲がっている」と捉えられることもあります。

重度のガミースマイルを放置するリスク

ガミースマイルは見た目だけでなく、健康面にも悪影響を及ぼす可能性があります。

ガミースマイルを放置するリスクは次のとおりです。

  • 見た目のコンプレックスになる
  • 虫歯や歯周病のリスクが高くなる
  • 口臭の原因になる

それぞれ詳しくみていきましょう。

見た目のコンプレックスになる

重度のガミースマイルでは、笑ったときに歯と歯ぐきがおよそ1:1の割合で見える状態になっています。

「気持ち悪い」という印象を持たれることもあり、人前で自然に笑えなくなったり、口を開けること自体が怖くなってしまったりするケースもあります。

関連記事:ガミースマイルが気持ち悪いと言われる理由を解説

虫歯や歯周病のリスクが高くなる

ガミースマイルの方は、とくに虫歯や歯周病に注意が必要です。

口を閉じるのに力を入れなければならないことから、口が開いたままの状態、つまり口腔内が乾燥しやすい状態が続くためです。

唾液の自浄作用が望めなくなり、虫歯や歯周病のリスクが大幅に増加してしまいます。

口臭の原因になる

前述したとおり、ガミースマイルはドライマウスを招きます。

口内の乾燥は細菌の繁殖を促すため、口臭が強くなりやすくなります。

感染症の原因になる

ガミースマイルで口腔内が乾燥すると、虫歯や歯周病の原因菌だけでなく、そのほかの細菌やウイルスも侵入・増殖しやすい状態になります。

そのため、ガミースマイルは風邪やインフルエンザなどの感染症になるリスクが高いといえます。

【重度】ガミースマイルの治療法

重度のガミースマイルの治療方法は次のとおりです。

  • 上唇粘膜切除術
  • 歯冠延長術
  • 上顎骨切り手術(ルフォーⅠ型手術)

それぞれご紹介します。

上唇粘膜切除術

上唇の動きが大きいことで、ガミースマイルになってしまう方に適した外科手術です。

上唇の動きを制限することを目的に、上唇の内側の粘膜と歯ぐきの一部を切除して縫い合わせます。

切除部分が口内で目立ちにくい点はメリットですが、粘膜が伸びることにより、ガミースマイルが再発してしまうケースがあります。

歯冠延長術

笑ったときに見える歯ぐきの面積を減らすことを目的に、歯ぐきを切除する方法です。

歯ぐきが歯に覆いかぶさっていて歯が短く見える方、歯のサイズがもともと小さい方に適しています。

上唇粘膜切除術同様、傷跡が目立ちにくい点がメリットですが、後戻りの可能性があります。

上顎骨切り手術(ルフォーⅠ型手術)

上顎骨を切って移動させる手術です。

骨格が原因のガミースマイルのほか、口ゴボや出っ歯、受け口、オープンバイト、顔面の左右非対称などに対しても行われます。

骨自体を切除して動かすため、後戻りの心配はありませんが数日~1週間程度の入院が必要になります。

【軽度~中度】ガミースマイルの治療法

軽度~中度のガミースマイルの治療方法は次のとおりです。

  • ボトックス注射
  • 歯肉整形
  • ラミネートベニア
  • 矯正治療

それぞれについて詳しく解説します。

ボトックス注射

ボツリヌス菌の毒素「ボツリヌストキシン」を弱毒化したものを注射して、上唇を引き上げる筋肉を麻痺させる治療方法です。

前述した上唇粘膜切除術と併用するケースも多くあります。

ダウンタイムが短い点がメリットですが、効果は3~6ヶ月程度しか持続しません。

歯肉整形

歯ぐきが過剰に発達し、歯を覆い隠してしまっているケースや、歯ぐきのラインが不揃いのケースに適した治療方法です。

電気メスやレーザーなどを用いて、歯ぐきを2~3mm程度切除します。

重度のガミースマイルに対して行われる手術と比べて低侵襲で、ダウンタイムも比較的短いですが、後戻りのリスクがあります。

ラミネートベニア

ラミネートベニアは、セラミック製の薄い板を歯の表面に貼り付ける治療方法です。

もともとの歯のサイズが小さい方のガミースマイルの改善に適しており、歯肉整形と併用されることもあります。

歯の大きさだけでなく、色調まで同時に整えられることがメリットです。

ただし、多くのラミネートベニアは健康な歯の表面を薄く削って貼り付けるものです。

健康な歯を削りたくない場合は、削らないラミネートベニアを提供している歯科医院を探すか、ほかの治療方法をご検討ください。

矯正治療

歯や上顎全体の突出が原因のガミースマイルは、矯正治療での改善も期待できます。

歯が原因ならば、ワイヤー矯正やマウスピース矯正(インビザライン)のみで治療できることもあります。

しかし、上顎全体が前に突出している場合は、歯列全体を後ろに下げる「アンカースクリュー」という治療が必要になるケースもあります。

歯並びや噛み合わせも同時に改善できるのがメリットですが、治療費や治療期間が負担となりやすいため、慎重な検討が必要です。

重度のガミースマイル治療にかかる費用と期間

最後に、重度のガミースマイル治療にかかる費用と期間の目安について、表でご紹介します。

治療方法 治療費用目安 治療期間目安
上唇粘膜切除術 15~25万円 2週間程度
歯冠延長術 15~25万円 2~3ヶ月程度
上顎骨切り手術(ルフォーⅠ型手術) 100~300万円 2ヶ月程度

ガミースマイルの治療費用は、原則として保険適用外となり、全額自己負担となります。

まとめ

重度のガミースマイルは、見た目のコンプレックスだけではなく、虫歯や歯周病、そして感染症のリスクを高めます。

ガミースマイルでお悩みならば、全身の健康のためにも早めに治療を開始することをおすすめします。

本コラムを参考にご自身のガミースマイルについて確認し、適切な治療を選んで改善を目指しましょう。

平山脩

コラム監修者

はぴねす歯科・矯正歯科尼崎駅前クリニック 院長 平山脩
岡山大学歯学部卒業後、岡山大学病院総合歯科に勤務。その後、大阪市内の歯科医院に勤務し、はぴねす歯科緑地公園駅前クリニックに勤務。2022年11月、はぴねす歯科・矯正歯科尼崎駅前クリニック院長に就任。

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